医療の話題 18 6月 2023 漢方について雑感 −加味帰脾湯を引き合いに− 加味帰脾湯という漢方は、とてもよく処方している漢方薬の一つです。 加味帰脾湯には「脾」という字が入っています。 漢方には「脾」という概念があります。 これは、現代医学の脾臓のことではなくて、今で言うと消化器系のことを指します。 漢方の世界の言葉は、今の医学の使われ方と少しずれていることがあります。こ… 続きを読む
医療の話題 9 6月 2023 甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ) 甘草と小麦と大棗からなる漢方薬です。甘いです。 子供や女性向けです。 感情が高ぶって叫んだり泣きだすなどの際に使われます。 比較的即効性があるので、具合が悪い時に飲んでいただく使い方も可能です。 自閉スペクトラム症の感覚過敏にも使われます。 参考:図解 漢方処方のトリセツ、精神医学 Vol.65 N… 続きを読む
医療の話題 30 5月 2023 ベンゾジアゼピンはGABAの作用を強くする GABAという神経伝達物質は、神経の活動を抑える働きがあります。 不安感とは興奮性の神経系の働きが過剰になって生じています。 そのため、GABAによって神経の活動が抑えられると、不安感が減少します。 ベンゾジアゼピンを飲むと、血流に乗って体の中を運ばれていき、血液脳関門というゲートを通って、脳の中に… 続きを読む
医療の話題 8 2月 2023 睡眠薬 レンボレキサント(デエビゴ錠) デエビゴ錠として処方されているお薬について記載します。 オレキシンという神経伝達物質があります。これは食事や飲水量を増やしたり、交感神経を活発にしたり、その他にも様々な働きを通じて、「起きている」という状態を保つ働きをしています。 デエビゴ錠は、このオレキシンが作用を弱めるようにすることで、「起きて… 続きを読む
医療の話題 7 2月 2023 睡眠薬 ラメルテオン(ロゼレム錠、ラメルテオン錠) ロゼレム錠、ラメルテオン錠などの名前で取り扱われている不眠に対するお薬について記載します。 脳の真ん中くらいの位置に、8㎜程の大きさの松果体という場所があります。そこからメラトニンというホルモンが出ています。 メラトニンは光の刺激があると量が減り、暗くなると量が増え、交感神経を抑えたりすることで眠気… 続きを読む
薬物治療 10 11月 2022 睡眠薬について② 睡眠薬にはいろいろな種類があります。 それをどうやって使い分けるのかですが、睡眠薬には効き方や使い方にそれぞれ特徴があるので、それを意識しつつ選びます。お身体の病気によっては、使えないものもあります。高齢の方には避けたほうがいいお薬もあります。 ・毎日使うのか、それともたまに使うのか。 連日使用する… 続きを読む
薬物治療 27 10月 2022 睡眠薬について① 「眠れないので眠剤を下さい。」というのはしばしば外来で聞くオーダーですが、お薬バイヤーになって二つ返事で処方するようなことは避けなければいけません。不眠の原因を見極めながら、必要であれば眠剤を適切に使用することが大事です。 高齢の方で、夜中途中で目が覚めて寝れなくてつらいんです、眠剤を下さい、という… 続きを読む
薬物治療 26 10月 2022 不安の薬①ベンゾジアゼピン系の薬剤〈1〉 ベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬があります。 「リーゼ」「ワイパックス」「ホリゾン」「ソラナックス」「デパス」 などの名前を聞いたことがあるかもしれませんが、どれもベンゾジアゼピン系となります。 このタイプのお薬について、簡単に説明していきます。 ベンゾジアゼピンが作用すると、脳内の興奮性の神経伝達… 続きを読む
薬物治療 25 10月 2022 精神科のお薬について 精神科で出すお薬について書いていこうと思います。 (このブログは分かりやすさや受診・投薬に対する安心感を持っていただくことを目的として作成していますので、専門的な事を知りたい方は詳しい本をご参照ください) 脳の活動というのは、神経伝達物質というものが関わっています。 神経伝達物質ってなに?というと、… 続きを読む