睡眠薬について①

「眠れないので眠剤を下さい。」というのはしばしば外来で聞くオーダーですが、お薬バイヤーになって二つ返事で処方するようなことは避けなければいけません。不眠の原因を見極めながら、必要であれば眠剤を適切に使用することが大事です。

高齢の方で、夜中途中で目が覚めて寝れなくてつらいんです、眠剤を下さい、という人がいます。よく聞くと、夕飯を食べた後、ほどなくしてもう寝ようとしているのです。20時には床に入り、夜中2時ごろ目が覚めて、そこから寝付けない。時間は十分とれているので心配しすぎなくていいですよ、とか、もう少し遅く床に入ってはどうですか、などといっても、やることもないし早く寝たい、眠剤が欲しいんですと話される。

よく聞くと眠れない時間に、いろんなことを考えて不安になるのがつらいので寝たいというのです。生活をお尋ねすると、高齢の一人暮らしで家族とも疎遠で近所付き合いもなく、日中もどこにも出かけず家で一人で過ごすことが多いとのことであったりします。

それであれば必要なのは眠剤ではなくて、日中デイサービスに参加して人と接する機会を持つとか、出かけて体を動かす、相談先を作ったり家族と連絡を取ることで安心感を得ることなのかもしれません。