双極性障害

極端な気分の落ち込みに加えて、気分の高揚(躁状態)が数日以上続くなどのことがあれば双極性障害の可能性を考えます。

躁状態が強い時は、知らない人にどんどん声をかける、寝なくても疲れない様子で夜中ずっと何かやる、次々に素晴らしいアイディアを思いついたと述べて語り続ける、自信にあふれて活動的になる、お金を浪費するなど、行動が目立ち周囲とトラブルになりがちです。急速に悪化して早急に対応するために入院が必要な場合もあります。

躁状態が軽度の場合は、周囲から気づかれにくく、本人も爽快感があり調子がいいと感じるため、症状の存在が見逃されやすいです。

双極性障害はうつ状態の期間の方が長いことが多いので、当初うつ病と考えられていた方が結局後になって軽い躁状態が存在していたことが明らかとなったり、最初はうつ状態のみであった方に新たに躁的なエピソードが生じて診断変更となる場合もあります。

双極性障害の方がうつ病の薬を服用すると躁状態になってしまうことがあるので、うつ病と双極性障害のうつ状態を見分けることは大事なのですが、なかなか困難なこともあります。

過眠がある、産後に発症している、25歳以前で発症している、双極性障害の家族歴がある、幻聴・妄想がある、苛立ちや怒りっぽさが目立つ、季節性である、等の特徴を持つうつ状態の場合には双極性障害である可能性が比較的高いようです。

病気の原因は、脳内の神経伝達物質に関連したものと考えられますが、詳細ははっきりとはしておらず研究が進められています。遺伝病ではありませんが遺伝的な要素に加えて、ストレスなどがかかると発症のリスクが高くなるとも考えられています。

治療の中心となるのは薬物治療で、気分安定薬や抗精神病薬と呼ばれるお薬を使用します。電気けいれん療法を行う場合もあります。

気分安定薬の炭酸リチウムというお薬は有効な血中濃度を保って服用します。血中濃度が高すぎると重篤な状態に至ることもあるため、定期的に血液検査を行い濃度の確認する必要があります。また、ロキソニンなどのNSAIDsというタイプの痛み止めと一緒に飲むと、濃度が上がってしまうので注意が必要です。

双極性障害は再発しやすいので、症状が落ち着いてもしっかりお薬を続ける必要があります。

適切な治療を続けるために、患者さんが疾患の理解をして納得して治療を受けることが大事です。

参考:日本うつ病学会治療ガイドライン 双極性障害