強迫性障害
無意味だと分かっていて、苦痛だからやめようと思うけれども止められず、何度も何度も繰り返し心の中で考えてしまったり行なってしまう行為のことを、強迫思考や強迫行為といいます。
例えば、
・出かける際にガス栓を閉じているか、コンセントを抜いているか、鍵が閉まっているか、と何回も確認を繰り返して外出できない。
・他の人が触ったかもしれない場所を触ると「菌に汚染されたのではないか?」と不安になって何度も何度も手洗いを繰り返す。
・車を運転していて歩行者の近くを通ると「人をひいたのではないか」と心配になって、何度も確認する。
・自分の言動が不快に思われなかったか不安になり、相手に会った際の言動を何度も心の中で思い出して確認し続ける。
といったことなどです。
この強迫思考や強迫行為が、少なくとも2週間以上ほとんど毎日存在していて、生活の妨げになっている(一日1時間以上、社会生活で問題が生じている等)ときは、強迫性障害として治療を考えていきます。
ちなみに、誤った事実を確信していて訂正不可能な場合には妄想が生じている可能性があり、その場合は診断・治療が異なってくることもあります。
発症の原因は一つではなく研究が進められていますが、神経回路が過剰に働いていたり、神経伝達物質が不足してうまく機能していないことが影響していると考えられています。心身のストレスを契機に発症することもありますが、目立ったきっかけがない場合もあります。
治療は、薬物治療や認知行動療法を行います。
強迫行為を行うと一時的には不安が下がるものの、結局は更なる強迫行為を加速させてしまい症状が悪化する悪循環に陥るので、まずはこの強迫行為を減らすことが大事です。
家族を巻き込んで一緒に強迫行為をさせようとすることもありますが、これも余計に悪化する悪循環に陥るので対応を考えていく必要があります。
薬物治療には主にセロトニンを増やすお薬を服用してもらいますが、お薬がよく効くのは全体の半分ほどです。
認知行動療法としては、不安な事にあえて取り組み、強迫行為を行わなくても不安が自然に下がっていくことを体験し、強迫行為を行わなくても大丈夫だと実感してもらう方法(曝露反応妨害法)などを行っていきます。