パニック障害
パニック発作とは、動悸や胸痛、息苦しさ、窒息感、めまい、嘔気、発汗、震え、気が遠くなる感じ、現実感が消失する感覚などが、強い不安感・恐怖感とともに数分以内に急速に起こるものです。睡眠中にパニック発作が生じて夜中に目が覚める人もいます。ほとんどが10分以内にピークに達し、30分以内で自然に収まります。あまりの恐怖心に救急要請したものの搬送先の病院に着くころには症状が治まっており、念のため一通り検査を受けて大きな異常はないとして帰宅となるという人もいます。男性より女性の方が多い疾患です。
このパニック発作が、状況によらずにしばしば(一か月間に数回以上など)起こるときに、パニック障害として診断します。
ちなみに、体の病気(甲状腺や、呼吸器・心臓の疾患等)でもパニック発作が起きることがあります。また、パニック障害ではない精神疾患でパニック発作が起きることもあります。
パニック障害は思いがけないタイミングでパニック発作が生じることを繰り返すため、患者さんはだんだんと、すぐに対応が取れないかもしれない場所(狭いところ、人込み、電車やバス等)に行くのに不安が生じ、避けるようになることもあります。
不安や落ち込みが強くなり、他の不安障害やうつ病が合わせて生じることもあります。
パニック発作がどうして起こるかですが、脳が過敏となりちょっとした刺激にも反応して「生命に危険な状態」という誤った認識をしてしまい、交感神経を活発にするなどの反応を引き起こしてしまい症状を生じているようです。ストレスがかかったり、アルコールやカフェインを大量にとることがきっかけになることもありますが、特にきっかけがなく発症することもあります。
この治療には、薬物治療や認知行動療法を行っていきます。
薬物治療にはセロトニンを調整するタイプの薬を使っていきますが効果が現れるのにしばらくかかるため、治療開始時には即効性のある抗不安薬という種類のお薬を必要時に服用してもらうことがあります。抗不安薬は長期にわたって連用すると依存性が生じるため、常用しないように注意が必要です。
認知行動療法は、不安に感じる行動を避けずにあえて取り組んでいくことを繰り返すことで不安を軽減する方法や、自分の身体感覚に必要以上に注意を向けすぎないように注意を自分ではなく外に向ける練習などを行っていきます。
また、呼吸法などのリラックス法や、ジョギングなどの運動も効果的とされています。