社交不安症

他の人に注目されることに対して強い不安感がある、恥をかいたり否定的に評価されるのでないかと恐れる、ということが半年以上続くなどして社会・日常生活に問題が生じているときに、社交不安症が疑われます。

まれな病気ではなく、7人に1人程は一生のうち一度はかかるとも言われています。

中学生頃に発症することが多いので、病気ではなくて自分の性格と考えて治療していない人もおられますが、自然に症状が改善していくのは 3、4割程度であり、治療しない場合は半数以上の人が数十年にわたる慢性の経過をたどると考えられています。

社交不安症をきっかけに生活の質が下がる、退学、未婚、離婚、子供を持たない、ということもあります。合わせて、うつ病やアルコール依存など、他の精神疾患を発症していることもあります。

不安が強く受診をためらう方も多いですが、まずは受診していただいて、一緒に治療に取り組んでいけたらと思います。

診察時に、社交不安の度合いをみるためにリーボヴィッツ社交不安尺度というチェックリストを患者さんにつけていただくこともあります。

病気の原因ですが、セロトニンやドパミンなどの神経伝達物質がうまく伝わっていないのではないかということや、脳にある扁桃体という場所を含む不安の回路が過剰に反応していること、回避行動をすることが習慣になってしまい悪循環になっているのではないかとも考えられています。

治療は、薬物治療と認知行動療法を行っていきます。

薬物治療はセロトニンを調整するお薬や、抗不安薬を使用します。

認知行動療法では、不安に思っていることにあえて取り組んでもらったり、自分自身に注意を向けすぎないように周囲の人の様子を観察するといった練習を行っていきます。

まずは不安が軽減することを目標に治療を進めていき、症状が落ち着いてきて一年程過ぎれば、少しずつ減薬して中止することも考えていきます。