幼い頃に傷つくこと(外傷的育ち)

子供時代に虐待を受けたり,親から強烈な支配や制限を受けたり、心の傷になるような離別や死別などを体験すると,脳がダメージを受けて変化し,記憶や恐怖、意思決定などにおいて誤作動を起こすようになることがあります。

・見捨てられることへの恐れが強い

・自己評価が低く不安定で疎外感を感じやすい

・自分の感情を無視する、感情のコントロールや感情を表すことが苦手

・無条件に認められているという安心感がなく、「頑張っていれば認めてもらえる(頑張っていないと認められない)」と考え、行動する

・人の怒りや批判に怯え、義務や期待に応えようとして過剰に人に合わせる

・「100%信頼したいが出来ない」という不安から、信頼できないということを確認するような、試す行動をとる。あるいは信頼できないと感じないように、あえて極端に距離を取る。

・「親から離れても愛情が薄れることはない」という安心感を得られなかったために、むしろ離れることが不安で出来なくなっており、親を憎んでいる一方で親を諦めきれなかったり、いつまでも「どこかに自分の全てをわかってもらえる状態があるかも知れない」という思いを捨てきれない。

などの傾向があります。

与えられるべきものが与えられなかったことへの怒りと、本当は与えて欲しかったという気持ちを持っていることに気が付いて、

どんなに望んでも「自分の内側にある苦痛や苦悩を共有し肩代わりしてくれる人は世界中のどこにもいない」という感覚を獲得することや、

親から分離する過程を経て「自分は親や他者とは融合しておらず自分と他人の境界が明確にある」という感覚を持つようになると、

気分の不安定さや敏感さが取れてきます。

治療、支援の際には、本人が

・過去のことや親のことではなく,現在の自分の心や行動に焦点を当てること

・自分や他人の言動を「どうしてそう思ったり,そういう行動をしたのか?」と考えること

・理解ある支援者との関係の中で治すこと

を意識して、支援者が本人の苦痛を肩代わりするのではなくて、

「本人が不安を抱えることが出来る力を育てられるようになること」

を目指します。

参考:メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服