ADHDと睡眠障害

発達障害(神経発達症)では、睡眠の問題を認めることが多いです。

ADHD(多動や衝動性、不注意が目立つ発達障害)でも、25−55%に睡眠障害があるといわれています。

不眠の他にも、日中の眠気や過眠などもしばしば見られます。

とある調査において大人のADHDの方の47%が日中の眠気があったり、ADHD症状のある方は、ない方の1.9倍日中の眠気が出やすいという結果もありました。

日中の眠気は成人になってからの方が目立ってくるのではないかとも考えられてます。

逆に、日中の眠気があるためにADHDのような症状を引き起こすこともあります。

睡眠時無呼吸症候群などの眠っている時に呼吸がしにくくなる病気や、むずむず脚症候群という夜寝ている時に脚をじっとさせてしていられない感覚になる病気などがありますが、それで眠れなくなって、昼間眠くなりADHDのような症状を引き起こしている場合もあります。

また、ナルコレプシーという日中突然寝てしまう病気がありますが、子供の場合には居眠りではなくてADHDのような症状として出ることもあり、ナルコレプシーの方の20%にADHDの症状があるともいわれています。

睡眠障害が起こる原因の一つとして、ADHDの人はメラトニン(睡眠のリズムを作るホルモン)の出る時間が遅くなっていたり、メラトニンを作る過程に障害があることが関係しているのではないかとも考えられています。

また、ADHDの治療薬の副作用で不眠や日中の眠気が生じていることもあります。

睡眠を整えるために、睡眠に関する習慣や環境を見直して(以前作成した「睡眠をとるために」というブログ記事もご参照下さい)、必要に応じてメラトニンやその他の眠剤を服用することも考慮していきます。

参考:注意欠如・多動症の治療ガイドライン、精神医学 Vol.65 No.5 2023年 05月号(増大号)、臨床精神医学Vol.47 No.5 2018年 05月号、臨床精神医学Vol.50 No.5 2021年 05月号